オメガ3が心臓を守るしくみ
魚油の摂取は、心筋梗塞の予防に大きな効果を発揮することは、これまで多くの研究で明らかにされています。その一部を1章でも紹介しました(14ページ)。
こうした魚油の効果は、DHA・EPAというオメガ3の働きに由来します。
オメガ3は、血液をさらさらにする働き(抗血小板凝集作用)や、血管を柔軟に保つ作用、高血圧を防ぐ赤血球変形能の向上作用、血中脂質を改善する作用などがあります。
こうした多彩な働きが、心臓に血液を送る冠状動脈に血栓ができるのを防いだり、心臓の負担を減らす上で役立ちます。
魚油より高い効果が期待
クリルオイルも、EPA・DHAというオメガ3の宝庫ですから、心筋梗塞を始めとする心臓病対策に大変有効です。
肥満したラットにクリルオイルを投与したところ、魚油を投与した場合にくらべて、心臓のリン脂質中にオメガ3がより多くとりこまれたという報告があります。EPAは96%、DHAは42%も多くとりこまれたというのです。
しかも、肥満ラットの心臓に含まれる脂肪の量についても、クリルオイルの投与で43%減少したそうです。魚油を投与した肥満ラットでは、そうした現象はみられていないということなので、クリルオイル特有の効果といえます。
心筋梗塞のダメージも抑制
日常的にクリルオイルをとっていると、心筋梗塞の発作が起こっても、心不全を予防できる可能性も動物実験で報告されています。
実験では、心不全を起こしやすいラットを使って、クリルオイルを事前に投与してから心筋梗塞を誘発し、7日後に心臓超音波検査をしています。
その結果、左心室の肥大や心重量、肺重量がそれぞれ有意に抑えられていたそうです。また、心臓組織のリモデリング(変性)も減弱されていたとのことで、クリルオイルの摂取が心不全のリスクの抑制につながる可能性が示唆されます。