目にも良く効くDHA

脳だけじゃなかった、視力改善の効果

鈴木 平光 著 1997.09.23 発行
ISBN 4-89295-381-4 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

頭にいいDHAが、目にもいい理由

目にも良く効くDHA

「近視大国ニッポン」と言われて久しい昨今、特に、子供たちの近視の急増ぶりが目立ちます。これは主に環境因子による影響が大きいでしょう。

考えてみれば、家の周りから広い野原や空き地がどんどん失われ、はるか遠くを望む機会などついぞなくなりました。かつて元気に外を駆け回っていた子供たちは、屋内に閉じこもってマンガ本を読んだりテレビを見たり、ファミコンに熱中する時間が多くなり、そのうえ寝る間も惜しんでの毎夜の受験勉強――これでは、近視にならないほうが不思議です。

九五年度の文部省の調べによると、裸眼視力が1.0未満の子供は、小学生で25%、中学生で49%、高校生では62%に達するといいます。 また一方では、世界一の長寿国となった裏側で、高齢者の目のトラブルが増加しているのも事実です。老眼になるのは仕方ないとしても、成人病にともなう視力障害、目の組織の老化による視力障害などは、失明につながる危険性が高いのです。

年をとってからの視力障害は、目だけでの問題ではなく、全身の健康状態に大きく影響します。というのも、われわれ人間は、外界から得る情報の八〇%以上を目に依存しているため、「見る」機能が障害されると、行動が大きく制約されてしまうからです。
例えば、新聞が読みにくい、手元が狂う、趣味を満足に楽しむこともできない、外出も控えてしまうなど、精神的にも肉体的にもどんどん衰えていってしまいます。そのあげくにボケてしまったり、骨折したりといった別のトラブルを招く原因にもなります。
これからの高齢化社会において、目の機能をいかに若く保つかということは、非常に重要な課題になってくると思われます。

そうした中、視力障害の予防に役立つ食品として注目されているのが、本書で紹介するDHA(ドコサヘキサエン酸)です。DHAは、水産物の油に多く含まれている脂肪酸の一種で、「頭をよくする物質」として話題になっているのでご存じの方も多いでしょう。

頭にいい物質が目にもいいとは、何だか出来すぎた話に聞こえるかもしれませんが、実はこれは非常に理にかなったことなのです。なぜなら、脳と目は、母親の胎内で胎児が成長する過程、すなわち、発生学上、同じ細胞から枝分かれした組織だからです。母胎内で頭部が形成されるとき、まず初めに脳の原型が作られ、その後、脳の一部がへこんで眼球が作られるのです。
また、もともと目の中には脳以上に高濃度のDHAが存在することもあって、DHAが目の機能に重要な役割を果たしていることは以前から予想されていました。それがここ数年の研究で、DHAの摂取量が極端に足りないと視力障害を招くこと、そしてそれはDHAの補給によって改善されることなどが次々と明らかになってきたのです。

本書では、第一章でそうした最新の研究データを取り上げ、第二章で視力障害がなぜ起こるかを説明したあと、第三章でDHA効果のしくみについて詳しく説明していきます。本書の内容が「近視大国ニッポン」という不名誉な称号を撤回する一つのきっかけになることを願っております。


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