魚が栄養値の高い食品であることは、昔からよくいわれてきたことです。それは魚を準主食としてきた日本人が、長年の経験から知り得た知識でもありました。
ところが、1989年10月19日、共同通信が日本のマスコミあてにロンドンから送ってきたニュースで、魚の栄養性について新しい事実が判明したのです。
新しい事実とは、英国人マイケル・クロフォード教授著作の『原動力』という本のなかに書かれた次のような内容でした。
「日本人の子供が欧米人の子供にくらべて知能が高いのは、日本人が魚を多く食べてきたことがその理由のひとつである」
知能の発達に魚が関係しているなど、いままでに考えた学者がいたでしょうか。
この発表によって、魚に含まれるDHAという成分が一躍脚光を浴びることになり、世界各国でさまざまな研究がなされるようになりました。
この本では、注目のDHAが人間の知能にどのような影響をあたえるのかについて、現在までにわかっている研究報告を基にして書いてあります。
受験生の皆さま、妊娠中のお母さん、そして『頭が良くなりたい』と思っているすべての方々に、ぜひ読んで参考にしていただき、何らかのお役に立てれば幸いと願っております。
また、頭が良くなるばかりでなく、魚は健康を維持するうえでも欠かせない食品です。肉食へ傾きつつある日本の食卓に、魚が主役としてカムバックできる日を心から望む次第であります。しかしながら、魚の真の価値に気づいたのが、魚を長い間たくさん食べてきた日本人でなかったことがいささか残念でなりません。