魚の油に含まれているDHAは「頭を良くする成分」として、今や、すっかり有名になりました。日本人の魚離れが叫ばれて久しい昨今、このような形で魚食の効用があらためて注目されることになろうとは、つい五〜六年前までは、まったく想像もしなかったことです。
長年、魚の栄養価に関する研究を続けて、魚を食べることがどれほど頭と身体に良い影響をあたえるかをよく知っているわたしとしては、やっと魚が日本人の食卓にもどりはじめたことに対して、心から喜びを感じている次第です。
ややもすると、DHAの頭を良くする効果ばかりがクローズアップされている感がありますが、魚の油にはDHAのほかに、同じくらい有効性の高いEPAという脂肪酸も含まれており、それらはいずれも、成人病や慢性疾患などさまざまな病気の予防・解消に効果的に作用することが明らかになってきています。
本著では、近年とくに増加傾向にあって、しかも回復が難しい病気とされているアレルギー性疾患とガン、そして老人性痴呆症を取り上げ、それらに対するDHAおよびEPAの効果について、最新の研究報告に基づきながら紹介していきます。
この本を読んだのち「よし、今晩の夕飯は魚にしよう」という気持ちになっていただければ非常に嬉しく思います。
なお、DHAの頭を良くする効果については、前著(『頭を良くする魚のDHA』ハート出版刊)に詳しく紹介してありますので、興味のある方は、ぜひそちらのほうもご利用ください。