目にも良く効くDHA

脳だけじゃなかった、視力改善の効果

鈴木 平光 著 1997.09.23 発行
ISBN 4-89295-381-4 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

DHAが不足すると視力が低下する

目にも良く効くDHA

DHAは人の体内では作れない
目の機能維持に重要な働きをしていると思われるDHAですが、残念ながらそれを人の体内で作り出すことはできません。毎日の食事で補給する以外、体内のDHAを維持する方法はないのです。
DHAを直接補給できるのは水産物に限られますが、実は野菜や豆類などに含まれている「α―リノレン酸」という脂肪酸をとると、体の中でその一部がDHAに変化することがわかっています。つまり、水産物をまったく食べない人でも、野菜などからα―リノレン酸をとることで、ある程度DHAを補給できるわけです。
なお、水産物中のEPAという脂肪酸も体の中で一部DHAに変化します。専門的には、このDHA、EPA、α―リノレン酸の三つの脂肪酸を総称して「n―3系高度不飽和脂肪酸」と呼びますが、本書ではわかりやすいように「DHA系脂肪酸」という呼称で紹介していくことにします。

DHA添加のミルクで乳児の視力が向上
DHA系脂肪酸の摂取量が足りないと、目にどんな影響が出るのか――これについては多くの研究者が報告しています。
例えば、アメリカのニーレンジャー博士らはサルを使った実験で、DHA系脂肪酸(α―リノレン酸)欠乏のエサで飼育すると視力が低下することを確認しています。 また、同じくアメリカのカールソン博士らは、人(乳児)を対象に次のような調査を行なっています。

《調査内容》
@DHAの豊富な海産油入りのミルクで育てた乳児(早産児)と、A海産油を含まない普通のミルクで育てた乳児(早産児)の視力を比較しました。

《結 果》
二ヶ月目および四ヶ月目の視力測定(テラー視力カード法)では、いずれもDHAの豊富な海産油入りのミルクで育てた@群の乳児のほうが視力が良いことがわかりました。そして、六・五ヵ月までは両群とも視力が向上し、その後は一定でした。
このことからカールソン博士らは「海産油の摂取はDHAレベルを改善し、四ヶ月目までの早産児の視力を改善する」とまとめています。
こうしたDHAの積極的な摂取による視力改善効果は、乳児にかぎらず、幼児、成年期、あるいは成人に達してからでも期待できることは、第一章で紹介した著者らの研究でも明らかです(8〜11頁参照)。


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