DHAびっくりデータ

痴呆・がん・アトピー・高血圧・動脈硬化…

矢澤 一良 著 1995.09.28 発行
ISBN 4-89295-353-9 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

DHAとEPAはここが違う

DHAびっくりデータ

海の食物連鎖の中で生まれる
DHAとEPAは、どちらも海中生物の食物連鎖の過程で生まれます。
海中生物の食物連鎖は、植物プランクトンにはじまりますが、この植物プランクトンに豊富に含まれているα―リノレン酸という脂肪酸を動物プランクトンが食べると、動物プランクトンの体内でDHAとEPAが生まれるのです。

そしてDHAとEPAを含む動物プランクトンを小魚が食べて体内にそれらを蓄積し、さらにその小魚を中型魚が食べ、さらに大型魚がそれらを食べて、それぞれの体内にDHAとEPAをどんどん蓄積していくわけです。

もともとどちらもα―リノレン酸由来の成分ですし、私たちの体内では、必要に応じてEPAがDHAに変化したり、逆にDHAがEPAに変化することもあるため、ほぼ同じような働きをすると考えられてきました。
実際、病気別の効果をみても、高血圧やアレルギー、動脈硬化など、共通して有効性を発揮するものがいくつもあります。
しかし個々の研究が進むにつれて、じつは色々な違いのあることがわかってきました。

EPAにはないDHAだけの特徴
たとえば血小板凝集(心筋梗塞や脳梗塞の引き金となる「血栓」形成に関わる因子)を抑える力は、EPAのほうが強いことがわかっています。EPAはこの働きが認められて、一九九〇年に閉塞性動脈硬化症の治療薬として医薬品になっていますし、さらに一九九四年には血中コレステロールと中性脂肪を下げる働きが認められて高脂血症の改善薬にもなっています。

一方、DHAのほうは医薬品にこそなっていませんが、実は血中のコレステロールを下げる力はEPAより強いことが確認できています(30頁)。栄養素でありながら、医薬品ほどの高い有効性もあるというわけです。

また、EPAにはない、DHAだけの特徴としてその局在性があります。DHAは、脳と目の神経系の細胞、あるいは心臓、精子、母乳など、われわれの生命活動に重要な役割を担う器官や臓器に集中して局在しているのです。

EPAの効果については、拙著(『もっと凄い薬効がわかった魚のEPA』ハート出版)で詳しく紹介してありますので、そちらを読んでいただくとして、本書ではDHAの効果、それも最新の臨床および研究データに基づく効果を紹介していきます。


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