DHAびっくりデータ

痴呆・がん・アトピー・高血圧・動脈硬化…

矢澤 一良 著 1995.09.28 発行
ISBN 4-89295-353-9 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

アトピー性皮膚炎の諸症状に

DHAびっくりデータ

DHAで五〇%が改善した
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な要素に環境因子(ハウスダストやダニ、食物)が加わることで発症すると考えられています。
かつて、魚をたくさん食べていた頃の日本人には少なかった病気であり、アトピー性皮膚炎の患者さんの血中にはDHAの量が少ないことから、この改善にもDHA効果が期待されています。
実際に、岐阜大学医学部小児科教授の近藤直実先生は、アトピー性皮膚炎の小児62人にDHAカプセルを用い、50%の改善率を得ています。
著効がみられた患者さんの、代表的な症例を紹介してみましょう。

【9才・男児】
生後6ヵ月頃から顔に湿疹が出はじめ、7才をすぎた頃から急激に悪化。
顔面は赤く乾燥し、落屑(皮膚がむけてくる状態)やかきむしったあとがあり、頚部には苔癬化(苔が生えたようになった皮膚が硬くなる状態)、びらん、かさぶたが認められ、体や手足に赤み、苔癬化、かさぶたが広がっていた。
アレルギー学的な検査の結果、中等度の状態と診断。
そこで従来の治療に加えてDHAカプセルを30粒ずつ、1日3回に分けて飲んでもらった結果、2ヵ月後には落屑が少なくなり、苔癬化していたヒザの皮膚も柔軟性が回復してきました。
そして3ヵ月後には皮膚の赤みやかゆみが減少し、6ヵ月後には全身の苔癬化が軽減しはじめたといいます。

DHAの効能メカニズム
アトピー性皮膚炎の発症には、ヒスタミンやロイコトリエン、PAF(血小板活性化因子)といった起炎物質の過剰産生が深く関わっています。
DHAには、このうちのロイコトリエンとPAFの産生を抑える働きが報告されていますので、それがアトピー性皮膚炎の改善に役立ったものと考えられます。

DHA含有の石けんで84%に効果が
富山医科薬科大学皮膚科の関太輔先生はアトピー性皮膚炎の患者さんに、DHAを含む石けんを用いて、大きな成果をあげています。

《臨床内容》
軽度と中等度のアトピー性皮膚炎の患者さん一九人に、従来の治療を続けながら、1日1回、DHA含有の石けんで体を洗浄してもらいました。
治療期間は8週以内。皮膚症状に効果がみられた時点でDHA石けんの使用を終了しています。

《結果》
全般改善度は『やや有効』以上が八四%で、無効が3人というすばらしい結果になりました。
症状別の改善率をみてみると、紅斑(皮膚の赤み)と丘疹(皮膚の盛り上がり)が37%。落屑(皮膚がぼろぼろむけてくる状態)は47%。皮膚の乾燥およびかゆみについては63%となっています。
また、患者さん自身の印象も『良くなった』『やや良くなった』と答えた人の合計が約79%にのぼり、全般改善度の数値の高さを裏付ける結果となっています。

石けんを使うメリット
アトピー性皮膚炎の患者さんの大部分は子どもですから、いくら症状の改善に効くといっても、DHAのカプセルを長期間にわたってとり続けるのはなかなかたいへんなことでもあります。
その点、石けんという形であれば、ふだんどおりにお風呂で体を洗うだけですから、長期間利用する上での精神的なストレスはほとんどありません。それで84%という高い改善率が得られたこの報告は非常に注目されます。
ステロイド外用剤の副作用が問題視される中、DHAの効果は、ステロイド剤の連用を避ける意味でも大いに役立つでしょう。


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