中性脂肪を減らし、心臓を元気にするEPA

中高年の「メタボリック・シンドローム」〈高中性脂肪・高血圧・高血糖・肥満〉を一掃

矢澤 一良 著 2005.03.09 発行
ISBN 4-89295-602-3 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

「熟年生」の知的食生活のススメ

中性脂肪を減らし、心臓を元気にするEPA

日本の65歳以上の高齢者数は、2050年には全人口の約36%に達すると推計されています。1人の高齢者を1.5人の成人が支える超高齢社会がまもなくやってくるのです。
もはや長寿を手放しで喜ぶ時代は終わりました。寝たきりや認知症の状態で長生きしても、苦痛を伴うばかりだからです。

幸い、現在の日本人の健康寿命(健やかに過ごせる人生の長さ)は、世界のトップに位置していますが、平均寿命82歳に対して、健康寿命は75歳(2003年度)。つまり、人生最期の7年間は、何らかの障害を抱えて過ごすケースが多いのです。この7年をいかに短縮し、健康なまま天寿を全うするか、これが今後の大きな課題といえます。

そこで、にわかに注目されはじめたのが「予防医学」です。
近代の医学は「病気になってから治す」ことに主眼が置かれ、強力な化学薬品が次々と開発されました。ところが、病気の罹患者数は増える一方で、なかには化学薬品の副作用で症状が悪化したり、生命を落とす例も少なくないことから、一転、これまで軽視されてきた「病気になるのを未然に防ぐ」予防医学が見直されるようになったのです。

現代社会には、紫外線や排気ガス、食品添加物、精神的ストレスなど、病気を促す危険因子があふれているため、病気にならずに天寿を全うするのは容易なことではありません。しかし、病気の発生は止められなくても、その発生時期を最大限に遅らせることができれば、健康寿命をより長く保てます。これを実現するのが予防医学です。

特に40代以上の中高年層――この世代を、私は応援の気持ちを込めてピッカピッカの〜1年生ならぬ「熟年生」と呼んでいますが、熟年生の健康維持にはヘルスフードを用いた知的食生活がおすすめです。

食生活の基本は「六大栄養素(たんぱく質・糖質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維)をバランスよく摂取する」ことにあります。そこにさらに適切なヘルスフードをプラスするのが、私の提唱する知的食生活。これにより、健康寿命の延長に大変有利となります。

本書で紹介するEPA(エイコサペンタエン酸)は、ヘルスフードの代表です。EPAは魚の油に多い脂肪酸で、化学的には合成できない天然の栄養素。魚油の成分としては、すでに認知症や知能向上、心の病気に奏効するDHA(ドコサヘキサエン酸)が有名ですが、EPAはそのDHAの前駆体であるとともに、近年になって急増した虚血性心疾患やアレルギー、がんなどに対する独自の有効性が数多く報告されています。

また、EPAの薬効は医学的にも認められていて、日本では高純度精製されたEPAが「閉塞性動脈硬化症」および「高中性脂肪血症」の治療薬として医療現場で汎用されています。さらに、2003年にはEPAを含む清涼飲料水が、特定保健用食品としての認可を取得。商品に「中性脂肪を低下させる」作用の表示が可能となりました。

医薬品と同じ成分が、特定保健用食品に認められたのは、EPAが初めてのことです。これはEPAが一般の化学薬品と違って、高い薬効をもちながら、食品としても非常に安全なものであることを示しています。

本書の内容が、熟年生の知的食生活の一助になることを願っています。


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