EPAは心臓を守る潤滑油

心臓病・がん・高脂血症など成人病予防の決定打

浜崎 智仁 中村 典雄 著 初版 1996.09.11 改訂版 2001.02.03 発行
ISBN 4-89295-415-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

EPAは血管障害の抑制に役立つ

EPAは心臓を守る潤滑油

グリーンランド人は血管が若い
では、EPAのどのような働きが虚血性心疾患の予防に役立つのかを説明してみましょう。
虚血性心疾患に対するEPAの効果は、主に血管を丈夫にする働きによって生み出されています。本書の冒頭で「日本人の死因のトップは血管障害」と書きましたが、EPAは、この動脈硬化をはじめとする血管障害の予防におおいに役立つのです。
それを裏付ける一つの証拠に、EPAを大量にとっているグリーンランド人は、動脈硬化の進行が非常に緩やかであることが知られています。デンマーク人と比較すると、グリーンランド人のほうが 年ほど動脈硬化の進行が遅くなっています。

漁村の人々の血管は若い
それなら、日本人の中で最も魚の摂取量が多い漁村の人々の動脈硬化の進み具合はどうだろうと思い立ち、著者らは次のような調査を行いました。

【調査内容】
対象者は、富山県氷見市の漁村部の住民55人。そして、ごく普通に魚を食べている同市の農村部の住民49人にも参加してもらいました。漁村部では9割の人が魚を毎日食べており、男性(漁師)にいたっては全員が毎食に食べていました。一方、農村では魚を毎日食べる人は1割程度でした。
なお、動脈硬化の進み具合については、脈の伝わる速度(脈波伝播速度)で調べています。脈の伝わる速度は、血管の硬さを反映しているので、動脈硬化の進行を知る一つの目安になります。脈の伝播が速いほど血管が硬いことを示しています。

【結果】
漁村住民の脈の伝わる速度の平均は毎秒7.0m、農村住民の平均は7.7mでした。
毎秒70pの差がでたわけですが、これは非常に大きな差です。脈の伝播が毎秒10p速くなるには、1年かかるといわれています。したがって漁村住民の動脈は農村住民に比べて平均7年も若かったことになります。
さらに著者らは、1974〜83年までの、同市における漁村部と農村部の心筋梗塞の死亡率を調べてみました。すると漁村部の死亡率は、農村部の7分の1に抑えられていることがわかりました。動脈硬化の進み具合と虚血性心疾患の死亡率が見事に相関していたわけです。


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