魚のDHA・EPAは泳ぐお医者さん

頭を良くし、ガン・アレルギー・ボケを防ぐ

鈴木 平光 著 1994.04.08 発行
ISBN 4-89295-332-6 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

DHAで脳の老化をストップ

魚のDHA・EPAは泳ぐお医者さん

DHAは脳の働きに不可欠な成分
医療技術の進歩は、わたしたちにかなりの長寿をもたらしました。
しかし、いくら肉体的な長寿が得られても、「脳の老化」の問題をクリアできなければ、長生きの価値も半減するでしょう。どこまで若々しい“頭”を保てるか──これが、今後の高齢化社会に向けての大きなテーマです。
そこで俄然注目されているのが、DHAの “健脳作用”です。
脳細胞の脂肪には、平均一〇%程度のDHAが含まれていますが、じつはDHAが脳内に存在していること自体、大変重要な意味をもっています。
いうまでもなく脳は重要な臓器ですし、デリケートですから、その中へ入ることができる成分は、必要最小限にして不可欠のものにかぎられます。DHAが脳細胞中に含まれているということは、DHAが、脳の機能を維持するうえで、欠かせない成分であることを示しているわけです。
とくに記憶学習の機能をもつ「海馬」と呼ばれる部分のリン脂質には、二〇%以上の高割合でDHAが含まれています。

脳の老化はDHA不足が原因?
ところが、老化にともなって脳細胞はだんだん減りはじめます。三〇才前あたりから、一日一〇万個以上の割合で消失していくといわれています。
脳細胞(神経細胞)が消失していくということは、当然、その中にあるDHAも同時に失われていくわけです。これが、老化によって脳の働きが鈍ってくる大きな要因のひとつと考えられるのです。
実際に、わたしたちの研究グループが「高齢ネズミ」と「若いネズミ」の脳内のDHA量を比較する実験を行なった結果、やはり高齢ネズミのほうが脳内のDHA含有量が少なくなっていました。
そして同時に、その高齢ネズミにDHAを豊富に含むエサを一ヵ月間与え続けると、脳内のDHA量が、若いネズミと同じ程度までよみがえることも確認できたのです。
ですから、老化によって脳細胞の総数が減っても、若い頃以上にたくさんのDHAを摂取して、残っている脳細胞を最大限に活性化することができれば、記憶力や学習能力の低下を最小限に抑える効果が期待できるわけです。
いつまでもフレッシュな頭脳を保つには、DHAを豊富に含む魚を食べることが大切です。


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