中性脂肪を減らし、心臓を元気にするEPA

中高年の「メタボリック・シンドローム」〈高中性脂肪・高血圧・高血糖・肥満〉を一掃

矢澤 一良 著 2005.03.09 発行
ISBN 4-89295-602-3 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

EPAは脳や精神疾患にも有効

中性脂肪を減らし、心臓を元気にするEPA

EPAで空間認知学習能が向上
魚を食べると頭がよくなる、という話は知られています。頭がよくなるとは、記憶力や学習能力、判断力などの向上を指しますが、事実、魚油に豊富なDHAの摂取でそれらの能力が高まることは多くの研究で立証ずみです。

一方、同じ魚油の成分でも、EPAと脳の関係はあまり研究されていませんでした。なぜなら、DHAは脳に多量に存在しますが、EPAは脳にほとんど含まれていないからです。しかし最近になって、EPAの健脳効果が見直されています。

例えば、島根大学医学部の橋本道男博士らは、三世代にわたって魚油抜きのエサで飼育した若齢ネズミを2群に分け、一方にだけEPAを10週間与えながら迷路実験を実施。その結果、EPAの投与により、脳の中で記憶・学習能力を司っている部位(大脳皮質や海馬)でEPA・DHA量が増えるとともに、空間認知学習能の向上が認められたと報告しています。

うつ病と血中のEPA濃度の関係
EPAは、精神疾患に対しても有効に働くことが期待されています。
うつ病の患者さんは、赤血球膜中のEPAに対するアラキドン酸の比率が高く、その値が高いほど、重症であることが明らかになっているのです。

また、自殺未遂者は、うつ病や衝動性精神疾患を抱えているケースが大半ですが、中国で実施された研究によると、100名の自殺未遂者(アルコール依存症は除く)の赤血球膜中のEPA濃度は、外傷で治療中の患者さんにくらべて有意に低値だったそうです。

統合失調症にはDHA以上の効果
Peetらの研究では、統合失調症に対するEPAの効果が示されています。
向精神薬を服用中の統合失調症の患者さん45名を「EPA投与群」「DHA投与群」「偽油投与群」に分けて、3ヵ月後に症状の変化をみたところ、EPA投与群が、他群にくらべて有意に改善。陽性症状の改善は、DHA群よりEPA群のほうが優れていたといいます。


その他のDHA・EPA関連書籍