ブレインフードDHAで“脳と心”が元気になる

うつ、キレる、ADHD、痴呆症、脳の老化、ストレス障害に効果あり

矢澤 一良 著 2003.04.16 発行
ISBN 4-89295-436-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

DHAは、「うつ」克服の強い味方

ブレインフードDHAで“脳と心”が元気になる

現代にはうつ病が増えている
ストレスが深く関与して起こる、もう一つの代表的な心の病が、うつ病です。
うつ病は、感情面に障害をきたす病気で、理由もなく気が滅入ったり、涙もろくなったり、不安に襲われる日々が続き、やがて仕事や遊びに対する意欲も失せて、「死にたい」という自殺願望が出てくるのが特徴です。
身体面では、食欲減退、体重減少、不眠のほか、頭重感、肩こり、倦怠感などがよくみられます。
現在の日本では、社会的ストレスに加えて、長引く不況の影響もあり、40代以降にうつ病におちいるサラリーマンが急増しています。この年代の男性の自殺も増えています。
また、男性だけでなく、23頁で示した主婦の空き巣症候群や子供の引きこもりなども、うつと関係の深い症状です。

うつ病とDHAの関係を示すデータ
じつは、うつ病の発症率が高い欧米では、うつ病の特効食品として、DHAの豊富な「魚」が大いに注目されています。
というのも、うつ病に対する魚食の有効性を示した研究データが数多く報告されているからです。
例えば、アメリカの国立衛生研究所の調査では、魚を食べる量が多い国ほど、うつ病の発症率が低いことが明らかにされています。
また、2千人近いフィンランド人を対象にした調査では、「魚を週に2回以上食べる」人たちは、「魚をまったく食べないか、食べても週に1回」という人たちにくらべて、うつの発症率は約6割に抑えられ、自殺願望を抱く比率もおよそ半分にすぎなかったと報告されています。
さらに、約26万人の日本人を17年間追跡した疫学調査でも、魚を毎日食べている人は、そうでない人にくらべて自殺者数が少ないことが示されています。
そして、20名のうつ病の患者さんを対象にした研究では、アラキドン酸の血中濃度にくらべて、DHA系列の脂肪酸(EPA)の血中濃度が低い人は、感情障害や食欲不振、不眠、自殺願望などの症状が重いことが明らかにされています。

病院の治療との併用が必須
うつ病に対するDHAの効果も、セロトニンとの関係が示唆されています。
脳内でセロトニンをうまく利用できない状態にある人は、他者に対する敵意性が高まるだけでなく、うつ病や自殺の発生率が高いことが知られているのです。
そのため、セロトニンの働きをよくする薬が、うつの治療に使われています。
DHAも、同様にセロトニンの利用効率を高める働きが期待できます。しかも、薬剤と違って、副作用の心配のないところが注目されています。
ただし、うつ病は、自殺願望がみられる点で、生命に関わる病気です。ですから、うつ病と診断された場合は、必ず専門医のもとでしっかり治療を受けることが大切です。
それとあわせて、DHAやDHAの豊富な魚を食生活のなかに上手に加えていくといいでしょう。


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