ブレインフードDHAで“脳と心”が元気になる

うつ、キレる、ADHD、痴呆症、脳の老化、ストレス障害に効果あり

矢澤 一良 著 2003.04.16 発行
ISBN 4-89295-436-5 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)

脳を元気にするDHAの5つの働き

ブレインフードDHAで“脳と心”が元気になる

DHAは、脳のなかで主に次の5つの働きをしています。

@神経伝達物質の伝播を円滑に保つ
神経細胞の膜のなかにDHAがたくさんあると、膜がやわらかくなります。
神経細胞の膜がやわらかいと、神経伝達物質の生産量が高まり、同時にそのやりとりが円滑になることから、脳内の情報伝達が活性化します。
神経伝達物質には、アセチルコリン、ドーパミン、セロトニンなどがありますが、これらはいずれも、記憶・学習能力に深く関係しているほか、情緒不安がみられる人や、うつ病の患者さんの脳では、その分泌や働きに問題があることがわかっています。
DHAは、そうしたトラブルの予防と改善に役立つと考えられています。

A神経細胞の成長を促す
DHAは、神経細胞のアンテナ(樹状突起と軸索)を増やしたり、その成長を促す働きもあります。
培養した神経細胞にDHAを加えたところ、48時間後に突起が何本も伸びていた、という研究報告が出ているのです。
DHAは、NGFという神経成長因子の産生量を増やすほか、アンテナの材料(たんぱく質や脂質)を効率よく作りだす手助けもすると考えられています。
神経細胞のアンテナがぐんぐん成長すれば、これも脳の情報伝達の活性化につながります。

B神経細胞の死滅を防ぐ
脳のなかで、活性酸素という毒性(酸化力)の強い酸素が大量に発生すると、神経細胞が障害されたり、死滅する危険性が高まります。
ストレスによる情緒障害や精神病、またアルツハイマー型痴呆症の発生には、こうした活性酸素の害が深く関係しているともいわれています。
じつはDHAをとっていると、大脳での活性酸素の消去能力(抗酸化酵素の活性)が高まることが、島根医科大学の動物実験で明らかにされています。
また、神経細胞じたいがどんどん自殺してしまう場合があります。アポトーシスと呼ばれる現象ですが、DHAの摂取はこの抑制にも役立ちます。

C炎症の原因物質の産生を抑える
神経細胞にダメージを与えるもう一つの因子として、「サイトカイン」と呼ばれる炎症性の物質があります。
サイトカインは、病原菌やがん細胞を排除する武器として、白血球から生み出される生理活性物質で、TNF(腫瘍壊死因子)、インターロイキン、インターフェロンなどがよく知られています。
どれも体を健康に保つうえで欠かせない物質ですが、必要以上に産生されると、神経細胞の働きを弱める要因となります。
DHAは、サイトカンの過剰産生を抑える働きも報告されています。

D脳の血管を若返らせ、血行を促す
 DHAをとっていると、脳の血管が若返り、血行もぐんと高まります。
 DHAには、悪玉コレステロールを減らしたり、赤血球の変形能を高めたり、血栓ができるのを抑える作用があるからです。
 血行がよくなれば、一つ一つの神経細胞に十分な酸素と栄養が行き届いて、その働きが活発になります。
 また、血管が若返ることで、痴呆症の引き金となる脳卒中の危険性も大幅に減ります。

 以上のように、DHAは多方面から、脳の神経細胞を元気にします。
 これらの相乗効果が、脳・神経系のトラブルを建て直し、心の病、脳の病の克服に大きく貢献するのです。


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